ビットコインの総発行枚数は2100万枚と決められており、マイニング(採掘)によって少しずつ新しいビットコインが市場に供給されています。
しかし、約2140年にはすべてのビットコインが採掘され、ブロック報酬として新たに発行されるビットコインはなくなるとされています。
この「採掘終了」後に、ビットコインのネットワークや取引がどう変わるのかは、多くの投資家や技術者にとって大きな関心事です。
この記事では、ビットコインの採掘が終了した後に起こるであろう変化と、それがどのような影響をもたらすかについて解説していきます。
採掘終了後のビットコインネットワーク
ビットコインの採掘が終了しても、ネットワーク自体が停止することはありません。
ブロックチェーンの新しいブロックは引き続き生成され、トランザクションは承認されますが、マイナー(採掘者)への報酬は新規発行されたビットコインではなく、トランザクション手数料がメインの報酬となります。
トランザクション手数料がメインの収入源に
現在、マイナーはブロックを生成するたびに6.25BTC(2024年時点)のブロック報酬を受け取っています。
しかし、2100万枚がすべて発行されると、このブロック報酬はゼロになります。
そのため、トランザクション手数料が唯一の収入源になります。
この変化により、取引手数料が上昇する可能性があります。
特にビットコインの利用が広がり、取引量が増えると、限られたブロックスペースを利用するために高い手数料を支払う必要が出てくるかもしれません。
ネットワークの安全性に対する懸念
ビットコインネットワークの安全性は、マイナーがブロックを検証することで保たれています。
しかし、採掘終了後にトランザクション手数料が十分な報酬を提供できない場合、マイナーは利益を得るために採掘活動を続ける動機を失うかもしれません。
その結果、ネットワーク全体の計算力(ハッシュレート)が低下し、攻撃者がビットコインネットワークを悪用するリスクが増大する可能性があります。
ただし、ビットコインはこのようなリスクに対しても柔軟に対応できる設計がされています。
例えば、ハッシュレートが低下すると、ブロック生成の難易度が自動的に調整され、引き続きブロックが適切なペースで生成されるようになります。
採掘終了後のビットコイン経済
ビットコインの採掘が終了することは、ビットコインの供給が限られることを意味します。
2100万枚のビットコインがすべて発行されると、それ以上の新たな供給はありません。
これにより、ビットコインはデフレ資産としての性質が強まります。
デフレによる価値の向上
ビットコインの供給が増えないという性質は、長期的には価格上昇の要因となり得ます。
供給が一定である一方で、需要が高まれば、ビットコインの価値は上昇すると考えられます。
このため、ビットコインは「デジタルゴールド」とも呼ばれ、長期的な資産保全の手段として注目されています。
マイニング業界の変化
採掘終了後は、マイニング業界そのものにも大きな変化が訪れるでしょう。
現時点では新たにビットコインを採掘することで利益を得ているマイナーも、今後は主にトランザクション手数料に依存することになります。
取引手数料が十分に高くなれば、マイナーは採掘活動を続けるインセンティブを持つでしょうが、もし手数料が十分でなければ、採掘活動を続けるのは難しくなるかもしれません。
技術的な対応策
ビットコインの採掘終了後、トランザクション手数料の問題やネットワークの負荷に対応するために、技術的な対策も考えられています。
レイヤー2ソリューション
ビットコインネットワークのスケーラビリティを向上させるために、レイヤー2ソリューションが既に導入されています。
例えば、ライトニングネットワークは、ビットコインのメインチェーン上で直接取引を行わず、オフチェーンで取引を処理することで、手数料を抑えつつ高速な取引を実現しています。
この技術により、トランザクション手数料が高騰する問題に対処することが期待されています。
採掘終了後のビットコイン市場への影響
ビットコインの採掘が終了することは、単に技術的な問題にとどまらず、市場全体に影響を与える可能性があります。
他の仮想通貨への影響
ビットコインは現在、仮想通貨市場全体の価値の大部分を占めています。
そのため、ビットコインのネットワークに問題が生じると、他の仮想通貨にも影響を与える可能性があります。
逆に、ビットコインが引き続き強い需要を持ち続ければ、他の仮想通貨に対してもポジティブな影響を与えるでしょう。
まとめ
この記事では、ビットコインの採掘が終了した後に起こり得る変化について解説しました。
要点をまとめると以下の通りです↓
- 採掘終了後、マイナーは新規発行されたビットコインではなく、トランザクション手数料によって報酬を得ることになります。
- トランザクション手数料が十分でない場合、ネットワークの安全性が低下するリスクがありますが、技術的な対策が取られています。
- ビットコインの供給が固定されることで、価格上昇の可能性が高まり、デフレ資産としての価値が増すと考えられます。
- レイヤー2ソリューションのような技術革新が、採掘終了後のネットワークの効率化と手数料問題の解決に寄与する可能性があります。
ビットコインの将来は、技術的な進歩や市場の需要に左右されますが、採掘終了後も価値を保ち続けるための多くの仕組みが準備されています。
(一部参考文献:moonpay.com)